猫の腎臓病(慢性・急性)はどんな症状? 原因・予防・治療方法など

2022.10.24
猫の腎臓病(慢性・急性)はどんな症状? 原因・予防・治療方法など

猫の腎臓病は、猫にとって宿命ともいわれる病気です。慢性と急性がありますが、慢性腎臓病のほうは、多くの高齢猫が発症することでも知られています。腎臓という目には見えない臓器で進行するため症状に気づきにくいのですが、あらかじめ知識を得ておけば腎臓病を疑い、早めに受診することができます。

この記事で症状のほか原因、予防法、治療法についてお伝えしますので、どうぞ参考にしてください。

目次


猫の腎臓病


腎臓病について解説する前に、まずは猫の腎臓の働きについて理解を深めておきましょう。腎臓は、体内にたまった老廃物や毒素など、体にとって必要のないものを尿とともに排泄する役割を担う臓器です。そのほかにも、血圧の調整をする、血液中のナトリウムやカリウムのバランスを保つ、赤血球をつくるなど、生命を維持するうえで重要な働きをしています。

腎臓病とは、このような機能を持つ腎臓に異常が起きること。冒頭でもお伝えしたように、慢性と急性があります。
猫の慢性腎臓病
慢性腎臓病は、長い時間をかけて徐々に腎臓の機能が低下していく病気です。初期の段階ではなかなか症状に気づきにくく、多くのケースでは高齢になってから診断されます。

4つのステージに分類され、ステージごとに治療法が異なるのですが、慢性的な進行で悪くなった腎臓は、元に戻すことができません。そのため、日常生活を送るにあたっては、上手に病気とつき合うことが必要不可欠といえます。
猫の急性腎臓病
急性腎臓病は、急激な腎臓の機能低下が見られる病気で、命にかかわるケースもあるため注意が必要です。ただし慢性と異なり、速やかに適切な処置を受ければ、腎臓の機能回復が見られることもあります。

腎臓病の猫にはどんな症状がでる?


腎臓は目で見ることができませんが、愛猫の様子から腎臓に異変が起きている可能性を察知することはできます。具体的な症状を把握しておきましょう。
慢性腎臓病の場合は、水をたくさん飲むようになる、尿の回数が増える、尿の色が薄くなるといった症状が見られます。そのほか、食欲がなくなり体重が落ちる、便秘がちになる、嘔吐の回数が増える、口臭がひどくなる、毛の艶が悪くなるといった症状も。

ただ、初期のころはなかなか気づきにくいことも確かです。少しでも「これまでと変わった様子が見られる」というときは、受診してみてもいいかもしれません。

急性腎臓病では、急に元気がなくなりぐったりする、食べる量や水を飲む量が減る、吐く、尿の量が減るといった症状が見られます。このようなときは「もう少し様子を見よう」などと考えず、すぐに受診してください。

猫の腎臓病の原因


原因がわかれば対処がしやすいのですが、猫の腎臓病には、細菌やウイルス感染、腎臓の腫瘍、遺伝など、さまざまな原因が考えられます。特に少しずつ症状が進行する慢性腎臓病の場合、いつどんな状況で発症したのかを特定するのは難しいというのが実情ですが、よくいわれる原因を挙げてみましょう。
高齢
猫も高齢になると、内臓全体の機能が低下する、骨格に異常が出るなど、体のあちらこちらに異変や不調が見られるようになります。
腎臓の炎症
急性腎臓病の場合は、腎臓に炎症を起こしたことで急激に症状が出ることがあります。
尿路結石症
急性腎臓病では、尿路結石症も原因のひとつといわれています。結石により、尿が出にくくなってしまうのです。同様のことは、結石ではなく、腫瘍でも起こる可能性があります。

猫の腎臓病の治療方法


さて、猫が腎臓病になったとき、治療はどのように行われるのでしょうか。

慢性腎臓病の場合は、回復することが望めないため、現在の腎臓機能を少しでも維持すること、病気の進行をできるだけ遅らせることが、治療の基本。具体的には、皮下補液と呼ばれる点滴、薬剤による治療、食事療法などです。なお、皮下補液の治療は入院の必要がなく、通常の外来診療で受けることができます。

急性腎臓病の場合は、入院して点滴治療をするのが一般的です。そのほか、症状に応じて薬が処方されることもあります。

猫の腎臓病を予防するには?


猫の腎臓病を予防するためにはどうしたらいいのでしょうか。原因が明らかではないため「こうしたら確実に予防できる」という方法はないのですが、それでも日々しておきたいのが、尿の状態をチェックすることです。量や頻度、確認できるようであれば色も観察しておくといいでしょう。

定期的な健康診断も有効です。体重測定や触診・聴診に加え、血液検査や尿検査もしておくと安心ではないでしょうか。ほかの病気が発見できる可能性もあります。

食事は、猫の健康や栄養バランスに配慮したフードを与え、人間の食べ物は与えないようにしてください。同時にデンタルケアも心がけていきましょう。そのほか、次のことも予防につながると考えられます。
新鮮な水を多く飲めるようにする
いつでも新鮮な水が飲める環境にしておくことが大切です。必要に応じて複数の場所に飲み水を置いてあげましょう。
適切な運動、肥満防止
よく体を動かし、肥満を防止することはあらゆる病気の予防につながります。ぜひ心がけてください。


直接、目に触れることのない猫の腎臓ですが、異変が起きている場合、尿の回数や量の変化などから推測することができます。特に慢性腎臓病は、少しずつ進行するだけでなく、いったん機能が低下すると元には戻らない病気です。日ごろから愛猫の様子を気にかけ、腎臓病にかかっていないかどうか気をつけてあげてくださいね。

監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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