老犬が痙攣(けいれん)を起こしたときの対処法

2023.02.18
老犬が痙攣(けいれん)を起こしたときの対処法
愛犬が痙攣している――その様子を目の当たりにしたら、飼い主さんも驚き慌ててしまうことでしょう。老犬ともなれば、なおさら心配が募ります。しかし、そんなときこそ、冷静に状況を把握して対処することが大切です。とはいえ、具体的にどのように対処したらいいのかわからないという飼い主さんもいるのではないでしょうか。今回は、痙攣の原因も含めて対処法を解説しますので、ぜひ知識としてお役立てください。
目次


老犬の痙攣(けいれん)とは?


初めに、痙攣とはどのような症状を指すのかについて確認しておきましょう。
痙攣は、犬の意思とは関係なく、複雑に筋肉が収縮する状態をいいます。似たような状態に「震え」がありますが、痙攣と震えは似て非なるものです。

ちなみに、痙攣を起こす病気としては「てんかん」が広く知られています。ただ、痙攣したからといって、原因がてんかんであるとは限りません。その点は、念頭に置いておいてください。

老犬の痙攣の症状・見分け方


次に、痙攣で見られる症状について確認しておきましょう。痙攣は、体の一部に見られることもあれば、全身に及ぶこともあります。

体の一部に見られる症状としてよくあるのは、犬かきのように手をばたつかせる、手足をこわばらせながら動かす、背中が弓のようにしなるなど。全身症状では、体全体の筋肉が波打つように不規則に動く様子が見られます。そのほか、呼びかけても反応しない、意識を失うといった症状が出ることも。痙攣は、たいていは数分でおさまりますが、まれに5分以上続くことや、1日のうちに何度も繰り返すこともあります。

また、よく混同されやすい「震え」との違いについて確認しておきましょう。震えは体の一部に起きる、細かく規則的で持続性のある動きのこと。人間も、寒いときには体が震えることがありますが、それと同じで、犬も寒さのほか、恐怖や不安を感じたときに体が震えます。年をとると筋力が低下し、その影響で震えが出ることも。いずれの場合も犬の意識は正常で、呼びかければ反応もしてくれます。

痙攣か震えか、ぱっと見ただけで判断をするのは難しいといえますが、意識があるか、ある場合は正常かどうかが見分けるための1つの目安になります。ただし、痙攣であっても意識がはっきりしていることもありますので、一度獣医師に相談してみることをおすすめします。

老犬が痙攣を起こしたときの対処法


それでは、老犬が痙攣を起こしたらどのように対処したらいいのかを、痙攣を起こしている最中と痙攣を起こした後に分けて説明します。
痙攣を起こしている最中
痙攣を起こしたら、愛犬の安全を確保することが最優先です。
基本的には愛犬に触れないように配慮しながら、周囲に置いてある物を片づけて、できる限りのスペースを確保しましょう。愛犬の意図しない動きで物にぶつかり、思わぬケガにつながる危険を回避するためです。

ソファの上など高い場所で痙攣を起こしたときには、下に落ちたときに体や頭を打ちつけることのないよう、毛布やクッションを敷きます。おろせるようであれば、低い位置に愛犬をおろしてあげてください。ただし、意識のない愛犬に触れると噛みつかれ、飼い主さんがケガをする恐れもあるので、無理は禁物。ケースバイケースで対処することを心がけましょう。

安全が確保できたら、痙攣の時間を計りながら、どこにどのような症状が出ているか、意識はあるかないかなど、愛犬の様子の把握に努めてください。手元にスマートフォンがあるときは、動画を撮影することをおすすめします。後に獣医師の診察を受けるときに、動画があれば時間や症状を具体的に伝えることができるからです。
痙攣を起こした後
痙攣がおさまったら、優しく声をかけてみましょう。ただし、痙攣がおさまったから終わりではなく、その後の様子も確認することが大切です。いつもの状態に戻るまでは、動画の撮影を続けておいてもいいかもしれません。動画が撮影できていない場合は、「少しふらついている」「よだれが出ている」など、痙攣後の様子をメモしておきましょう。

そのうえで、早めに動物病院を受診することが基本です。特に、痙攣が5分以上続いたり何回か繰り返したりしたときは、速やかに受診してください。大きな病気が潜んでいることも考えられますし、命に関わることもあるからです。

老犬の痙攣の原因


老犬の痙攣はどうして起きるのか、完全に解明されているわけではありませんが、次のようなことが原因として考えられています。

そもそも痙攣は、脳の電気信号伝達に異常が起きて生じるもの。そのため、原因の第一に挙げられるのが、脳の機能に障害が出る「てんかん」や「脳腫瘍」など脳の病気です。ただし老犬の場合は、臓器が弱っていたり、持病があるケースも多いのでそれ以外の原因で痙攣を起こすこともあります。

例えば、腎機能や肝機能の不全で痙攣することもありますし、低血糖も痙攣の原因のひとつです。そのほか、飲んだ薬の副作用、中毒症状、筋肉疲労、ストレス、熱中症など、さまざまな原因があります。診察の際は、持病のあるなし、飲んだ薬など、細かいことも伝えるようにしましょう。


老犬が痙攣を起こしたら、慌てず冷静に対処することが第一です。まずは愛犬の安全を確保し、痙攣の時間や様子を記録しておきます。痙攣がおさまったら、できるだけ早く動物病院を受診してください。いつもと変わらない様子に戻ると「受診しなくても大丈夫かな?」と思いがちですが、老犬のためにも飼い主さんのためにも、獣医師に診断してもらうことは大切だといえます。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許

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