老犬が吐くのは病気? 嘔吐の原因や対策について解説

2023.02.25
老犬が吐くのは病気? 嘔吐の原因や対策について解説
体力に衰えのきざしが見える老犬が吐いたとき、「何かの病気では?」と心配になるのは飼い主さんにとっては当然のこと。ただ、ひと口に「吐く」と言っても原因はさまざまで、一過性ですむこともあれば、治療が必要になることもあります。いざというとき慌てないように、基本的な知識を持っておきましょう。老犬が吐くときに考えられる原因、その際の対処法についてお伝えします。
目次



老犬が吐くのは病気?


老犬が吐く……という事象だけを見ると「病気なのでは?」と心配になりますが、必ずしもそうとは限りません。じつは「吐く」という行為は、次のふたつに分類することができます。
吐出(としゅつ)
吐出というのは、口から入った食べ物や飲み物が胃に行き着く前に逆流し、吐き出されることです。特徴は、食べたり飲んだりして時間を置かずに症状が出ることと、勢いよく内容物が出てくることです。胃に入ったものが戻ってくるわけではないので、腹部の収縮は見られません。
嘔吐(おうと)
胃に入った食べ物や水を、胃液とともに吐き戻すのが嘔吐です。脳の嘔吐中枢が何らかの刺激を受けて起こるもので、「中枢性」と「反射性」のふたつのタイプに分けることができます。詳しくは後ほど説明しますが、共通するのは、お腹に激しい動きが見られること、内容物を噴き出すように吐くことです。さらに、吐く前や吐いた後にぐったりするなど、体調の悪さが見て取れることも、吐出との違いといえます。

老犬が吐く原因


では、老犬が吐く原因としては、どのようなことが考えられるのでしょうか。吐出と嘔吐に分けて見ていきましょう。
吐出の原因
吐出の原因のひとつは、食べ物や飲み物以外のものを口に入れてしまう誤飲です。
また、食べ物や飲んだ物が胃に入る前に戻ってくることから、のどのトラブル、食道の異常や病気、飲み込む力の衰えや障害などが原因となっていることもあります。
嘔吐の原因
先ほど、嘔吐には「中枢性」と「反射性」というふたつのパターンがあるとお伝えしました。どちらも脳の嘔吐中枢が刺激されて起こるという点は同じですが、原因と刺激のされ方に違いがあります。

まず、中枢性の嘔吐についてです。中枢性の嘔吐は、おもに脳内部、大脳皮質や小脳など脳の一部が刺激を受けて起こります。刺激の原因はさまざまで、脳腫瘍や脳出血、頭部に受けた外傷など病気やケガということもあれば、糖尿病や尿毒症も原因となります。また服用している薬が原因の中毒症状やタバコやチョコレートなど犬にとって有害物質を摂取したときにも起こります。中毒症状は薬のほか、タバコやチョコレートなど犬にとっての有毒物質を摂取したときにも起こります。
そのほか、乗り物酔いやストレス、不安感など心理的要因が刺激となり、嘔吐につながるというケースもあります。

もうひとつの反射性の嘔吐は、消化管や循環器などから発せられる信号が、迷走神経や交感神経を通して嘔吐中枢を刺激するために起こるものです。その原因としては、食べ過ぎや早食い、空腹、食べ物が合わないなどが挙げられます。

また老犬が発症しやすいとされる病気が刺激となり、嘔吐につながることも。例えば胃腸のトラブル、腎不全、肝不全、腸閉そく、膵炎、尿路結石、寄生虫感染症などの病気が挙げられます。

老犬が吐いたらすぐに病院に相談するべき?


老犬が吐いたとき、飼い主さんが迷ってしまうのは「様子を見ていても大丈夫なのか、すぐに動物病院を受診したほうがいいのか」ということではないでしょうか。前述したように、早食いや空腹など明らかに病気以外の原因で嘔吐することもあります。その場合は様子をみてもいいこともありますが、繰り返す場合や他に少しでもおかしいと感じた場合は念のため動物病院に相談することをお勧めします。

ただし、嘔吐とともに次のような症状が見られたときには、すぐに受診する必要があります。何度も繰り返し吐く、吐きたそうにしているのに吐けない、吐いたものに血液が混ざっている、舌が紫色や白っぽい色に変色するチアノーゼが起きているなど。この場合、様子を見てしまうと、命に関わる恐れがあります。

そのほか、腹部がふくらんでいる、痙攣や下痢を伴っている、発熱している、呼吸がおかしく苦しそうにしている、まったく食欲がないなど、いつもと明らかに様子が違うときも受診するようにしましょう。

老犬が吐いたときの対策・対処法


次に、実際に老犬が吐いたときに飼い主さんができる対策や対処法についてお伝えします。

先ほどお伝えしたように、病気が疑われるような症状が出たときには、必ず獣医師の診察を受けてください。原因によっては治療が必要ですし、治療がうまくいけば吐くこともなくなります。

老犬の早食いが原因という場合は、早食いできない工夫をしてみましょう。早食い防止用の食器を使うことも方法のひとつですし、食事を小分けにして与える、やわらかめのフードを与えるといったことで解消できるケースもあります。食事を小分けにすることは、空腹が原因で吐いてしまうときの対処法としても有効です。

ストレスや不安が原因と考えられる場合は、老犬の生活環境を見直してみてください。視力や聴力、筋力が衰えてくると、周囲の様子がわからず不安を感じているかもしれません。年齢によっては、認知症になることもあります。認知症では、おもちゃなどを食べ物と勘違いして口に入れてしまうこともあるので注意が必要です。チョコレート、タマネギ、タバコなど愛犬が食べたら危険なものの扱いに気をつけることはもちろん、愛犬が飲み込んでしまいそうなおもちゃやグッズも、身近には置かないようにしましょう。


老犬が吐くと「病気ではないか」と心配になりますが、吐く原因が病気であるとは限りません。吐いたときの症状、吐いた内容物、吐いた前後の様子をよく観察して、老犬に合った対処をしてあげましょう。繰り返し吐く、内容物に血液が混ざっているなど、明らかな異常が見られるときは、すぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
監修者プロフィール

牛尾 拓(ウシオ タク)

経歴:岩手大学農学部獣医学課程卒業。動物病院勤務、製薬会社の学術職などを経て株式会社V and P入社
保有資格:獣医師免許



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